食欲抑制注射:サクセンダ
食欲抑制注射:サクセンダ
サクセンダは、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる注射薬で、主に食欲を抑える効果があります。GLP-1は体内に自然に存在、人の小腸から分泌されるホルモンの1種です。GLP-1は肥満の方に少なく、痩せた方に多いホルモンで、脳へ食欲抑制として働く他、中性脂肪の取り込み阻害、胃の排出抑制などの作用があり、ダイエットに有効な薬剤です。元々は高い血糖値のときにインスリンの分泌を促す作用で2型糖尿病治療薬として利用されていました。しかし、上記の作用及び、低血糖になりにくい効果から、アメリカではGLP-1を主成分とした肥満治療薬としてFDAの認可を受けています。
なお、口から飲める(経口投与できる)GLP-1受容体作動薬の一種である『リベルサス』も取り扱っております。
このような方へおすすめ
- 運動や過酷な食事制限をせずに痩せたい方
- 脂肪吸引したいけど、手術に抵抗がある
- 仕事を休めない
- 周囲に内緒にしたい
GLP-1の効果と作用
サクセンダは、アメリカでは肥満治療薬として広く使用されています。アメリカ食品医薬品局(FDA)によって2014年に承認され、BMIが30以上、または27以上で糖尿病などの合併症がある肥満症の人に処方されています。なお、日本国内では、サクセンダは肥満症の適応で承認は得られておりません。
GLP-1の効果と作用
サクセンダは、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)というホルモンの作用を模倣します。GLP-1は、食事を摂取すると小腸から分泌され、インスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる働きがあります。リラグルチドはこのGLP-1の作用を持続的に再現し、食欲を抑えることで摂取カロリーを減少させます。
血糖値の上昇を抑制
GLP-1は食事をとって血糖値があがると、血糖値を下げるためにインスリンが分泌されます。GLP-1は高血糖値状態のときに小腸にあるL細胞から分泌され、すい臓のβ細胞へ作用し、インスリンの分泌をさらに促します。GLP-1は2型糖尿病の治療薬としても広く使用されています。糖尿病治療薬と聞くと低血糖の心配をされると思います。しかし、GLP-1は高血糖時にのみ血糖を下げるように作用します。よって、低血糖のリスクは低い治療です。しかし、糖尿病治療をされていて、インスリンを含む他の血糖降下剤を併用している方は低血糖のリスクがあります。
中性脂肪の取り込み阻害
GLP-1は脂質を腸から体内の各箇所へ移動させるカイロミクロンの構成タンパク質の生成を抑制します。そのため、GLP-1によって中性脂肪の吸収が阻害されます。
食欲の抑制と胃の排出抑制
GLP-1は視床下部に作用することで、満腹感を助長することで食欲を抑制(摂食抑制作用)を持つとともに、胃の内容物排出速度を遅らせます。炭水化物等からえられる糖は小腸に達することで、筋肉や脂肪などへ吸収する作用が働きますが、この働きは小腸への消化物の流入速度が遅いほど血糖値の上昇を抑えられ、体内GLP-1の分泌も多くなるため、副次的な効果がありあます。
なお逆に、いわゆる早食いをすると、ゆっくり食べたのにくらべ、血糖値の上昇が大きく、体内GLP-1の分泌が低くなります。
Biochemical and Biophysical Research Communications(451:276-281, 2014)
太りにくい体へ
体内にも通常存在しているGLP-1ですが、肥満の人のほうが痩せている人よりもGLP-1の分泌量が少ない研究結果がでています。そのため、GLP-1を投与することで、GLP-1の働きを痩せてる人と同様に活性化させ、脂肪を減らし、体重を落とすことで体内のGLP-1分泌量が増加します。
食欲抑制注射:サクセンダの使用方法
ペンウィンドウから中身を確認します。混濁している場合は使用を停止してください。 | |
新しい注射針を手に取り、ペーパータブを引き剥がします。その後、注射針をまっすぐに押し込み、注射針部を回してしっかり締めます。プラスチック製の外側の注射針キャップは針を抜く際に使用するため、捨てないでください。 | |
投与量カウンタにチェック記号「・・ー」が表示されるまで、投与量セレクタを回します。 注射針を上に向けて、投与カウンターに「0」が表示されるまで投与量ボタンを押し続けます。通常であれば液滴が生じます。液滴が生じない場合は6回まで同様のことを繰り返してください。それでも生じない場合は使用を停止してください。 |
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選択したい投与量(0.6mg、1.2mg、1.8mg、2.4mg、または3mg)が表示されるまで、投与量セレクタを回します。投与量セレクタを回すたびに「カチッ」と音がします。 | |
投与量カウンタが見えるように。医療従事者の説明の通りに皮膚に刺入してください。投与量カウンタに「0」が表示されるまで投与量ボタンを押し続けます。投与量カウンタが0に戻ったら、針を刺したまま、1から6までゆっくりと数えます。 | |
外側の注射針キャップを被せて、注射針を取り外してください。 |
保管方法
サクセンダは未使用の場合なら冷蔵庫で保管する方法が奨励されています。使用中のサクセンダも冷蔵庫での保管をおすすめしますが、もし難しい場合は直射日光を避け、室内の比較的涼しい場所で保管するようにしましょう。
また1度使用し始めたサクセンダは30日以内に使用し、30日を過ぎてしまったら破棄しなければなりません。適切に使用しなかった場合、何らかの副作用や健康被害が発生し生じても保証を受けられない可能性が高いため、使用方法は必ず厳守することが大切です。
副作用・注意事項
副作用
- 胃腸障害(嘔吐、吐き気、下痢、胸やけ)・悪心・頭痛・便秘・下痢といった消化器症状がでる事があります。
- 低血糖…血中にある糖が必要な量より足りていない状態。冷や汗や手足の震えなど
- アナフィラキシーショック…過剰な免疫反応。血圧低下、失神、口唇、血管浮腫など
- 腸閉塞(ちょうへいそく)…小腸や大腸で腸の中の食べ物や便、消化液などがうまく肛門へ運ばれなくなった状態。腹痛や嘔吐感など
- 急性膵炎(きゅうせいすいえん)…何らかの原因で膵臓が傷ついたり、異常を起こしている状態。激しい背中の痛み、激しい腹痛、発熱など
- 胆石症(たんせきしょう)…胆汁の流れる胆道に石ができてしまう病気の総称。脇腹の痛みや嘔吐など
先述の通りサクセンダは高血糖の時だけ血糖を下げる働きを促しますが、極めて低い確率で低血糖が起こることが報告されています。低血糖の症状は冷や汗や手足が震える、吐き気がするなどです。その他、アナフィラキシーショック、腸閉塞、急性膵炎などの副作用もあります。副作用の症状が深刻な場合はすぐに医師に相談するようにしましょう
次の方は服用できません。
- 18歳未満、または、75歳以上の方
- 糖尿病、膵炎、胆石症、胆嚢炎、重度の腎機能障害、肝機能障害のある方
- 甲状腺疾患のある方、多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある方
- 心疾患、自己免疫疾患、膠原病(こうげんびょう)、てんかん、アルコールアレルギーの方
- 利尿剤を使用している方
- 精神安定剤を使用中の方、うつ病や自殺企図のある方
- 腹部手術の既往のある方、腸閉塞の既往のある方
- 摂食障害の方、BMI18.5未満の方、体脂肪率が男性15%未満・女性25%未満の方
- 内分泌疾患やステロイドなどの薬剤による肥満の方
- セマグルチド(リベルサス、オゼンピック)、添加物(リン酸水素二ナトリウム水和物、プロピレングリコール、フェノール など)にアレルギーがある方
- インスリンを含む他の血糖降下剤を使用している方。
- 妊娠中・産後3ヵ月以内(中絶・流産含む)・授乳中の方
- がんの治療中・治療後3ヵ月以内(それ以降は主治医相談)
- 心機能・腎機能が低下している
- 腹水や浮腫がある
- 透析療法を受けている
- G6PD欠損症(遺伝子疾患の1つ)
以下は種類によってお受けいただけない場合があります
- 感染症
- 薬物アレルギー
- 現病歴
- 既往歴
- 内服・外服薬
注射頻度と継続期間
一般的に、サクセンダは1日1回の自己注射を3カ月~1年程度継続していきます。
サクセンダの食欲抑制効果のピークは、注射後7.5時間〜11時間です。
このピーク時間を考慮して、注射のタイミングを逆算するのが効果的な使用法となります。
絶対に2日分を一度に注射はしないようにお願いします。
サクセンダの副作用の発現リスクを抑えるために、徐々に投与量を増やしていきます。
- 1日1回0.6mgから開始し、1ヶ月経過後に、1日1回1.2mgに増量します。
- 1日1回1.2mgを1週間以上投与しても効果不十分な場合には、医師にご相談ください。
また、3日以上打ち忘れが続いた場合、再開時に吐き気などの副作用が起こりやすくなります。この場合は0.6mgを1週間注射を行ったあと、1週間毎に0.6mgずつ増量し、本来の投与量に戻してください。
治療期間
治療の期間は6~12ヶ月間を推奨しています。用量と期間は、治療経過により判断します。
料金
品名 | 料金 |
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サクセンダ 1本(18mg) 針:1ヶ月分付属 使用例:0.6mg(30日分)、1.8mg(10日分)、3mg(6日分) |
¥30,000 (税込:¥33,000) |