2006年 5月 26日 (金) 18:47
肝斑とは、出産や更年期などホルモンの変動に伴い、両頬に対称性に出現する境界不鮮明な色素沈着です。通常の老人性のシミと異なり、治療に抵抗性で、レーザーやフォトフェーシャルなどの治療で、かえって、増悪することが知られております。これまでの治療としては、CP、イオン導入、トランサミン、ビタミンC、トレチノイン酸、ハイドロキノンなどの治療を組み合わせることで対処してまいりました。何れも多少の改善はあるものの、劇的な改善は難しいとされてまいりました。
ところが、最近フラクセルがこの肝斑の治療に有効であることが知れてきて注目を集めております。まだ、症例は少ないものの、かなり有力なデータが集まっております。少なくとも、悪化させることは殆どないようです。しかしながら、フラクセルは、皮膚に穴を開けて、古い皮膚ごと入れ替える治療であり、通常のレーザー治療よりも皮膚に対する侵襲は強いというのが一般的な見方です。これまでの常識では、フラクセルを照射すると肝斑が増悪するというのが一般的な予想でしたが、これに反する結果が出つつあるのが不思議な気がします。肝斑自体が原因不明ですので、ここからは憶測になります。しかし、古い皮膚を新しい皮膚に置き換えるということが、その原因そのものとも関係している気がします。恐らく、老化した皮膚のメラニン色素を破壊して肝斑を治療するのは難しく、老化した皮膚そのものを排泄させ、新しい皮膚に再生させることが、過激に見えて、肝斑の本質的な治療となる可能性があります。
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